病気からくるむくみ
むくみ症状は、女性には多い身体症状なのですが、病気から発症しているケースもあります。
皮下組織の少ない部位がむくみやすいので、足にむくみ(浮腫)がでやすいとされていますが、全身に発生する場合もあります。
「局所的浮腫」と「全身性浮腫」とに分けられ、病気によって特徴的なケースも多々あります。
両足に酷いむくみ(浮腫)が発症する場合は、そのほとんどが全身性で、腎臓機能だけでなく、心臓、肝臓、内分泌系の病気であるケースが大半です。
病気による器質的な機能の問題で、水分代謝が悪くなることによって、全身にむくみが発症しやすいということなのでしょう。
腎臓
腎臓が弱っていると、腎臓機能が落ちてしまい、体内の余分な水分を排出できなくなります。
そもそも腎臓は体内の水分量のコントロールをする機能があり、水分を尿として排出・排泄させる器官です。
正常に機能していれば、余分な水分がやたらと細胞組織に溜まるというむくみ(浮腫)が全身に発生することは無いはずなのです。
つまり、ひどいむくみが全身に発生しているとすれば、まずは腎臓の機能を疑います。
ただ、腎臓の機能が弱っている理由、原因として他の病気を抱えているケースも少なくありません。
血液中のアルブミンが減ると、細胞から血管に水分が戻る作用が落ち、水分が滞りやすいとされています。
アルブミンはタンパク質から肝臓で合成され、腎臓でろ過されて、必要な量が再吸収されるのですが、腎臓や肝臓に問題があると血清アルブミンの低下という状態に陥ります。
腎臓や肝臓の病気で低アルブミン症になり、むくみ症状に至っているというケースもあります。
心臓
心臓は全身に血液を送り出すポンプ機能を有していますが、そのポンプ機能が役割を果たせなくなった状態を「心不全」と呼びます。
心不全になると、ちょっとした運動で息切れがしやすくなったり、動悸がしたり、足のむくみが発症しやすくなります。
心臓の機能が弱ってくるわけなので、心臓から遠い部位にあたる足にまではポンプ効果が及ばないので、水分のリターンが困難になり、むくんでしまうのです。
むくみの原因である心不全から、更に動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などが発見される場合も少なくありません。
肝臓
肝臓障害、肝硬変などになると、全身にむくみを生じることがあります。
肝臓が弱るとアルブミンの生成が上手くできなくなり、血管内のあるアルブミン量が減ってしまいます。
アルブミンには血管と細胞組織の水分移動を調整する作用があり、減少すると水分が血管内に戻れない状態になりむくみ症状がでやすくなるのです。
肝臓機能が落ちてしまったことの結果として、むくむのですね。
甲状腺機能低下
女性に多い甲状腺の病気、甲状腺ホルモンの分泌が落ちて、甲状腺機能が低下すると、むくみが発症しやすくなります。
甲状腺とは、甲状腺ホルモン(身体全体の新陳代謝を促進するホルモン)を分泌する場所なので、甲状腺機能低下症によって甲状腺ホルモンが不足すると代謝が衰えるので、むくみも含めたいろいろな症状が出現するのです。
40代以上の女性には、決して珍しい病気ではありません。
その他に、むくみに至る病気は多種多様です。
足の血管が凸凹に浮き出てコブ状態になる「下肢静脈瘤」や、がんの手術にでリンパ腺を除去したための「リンパ浮腫」などもあります。